メンフィスにて

主に生命科学と社会について考える

2020-01-01から1年間の記事一覧

科学と社会の関わりについて考える

ものすごく大きなタイトルだが、これが私が常々考えていることなのだ。まあブログのサブタイトルとほぼ同じなのだが。今回の”学術会議”のアホらしい事件に火をつけられてしまったので、少しづつ文章にしてゆきたい。 社会は科学(技術も含む)とどう付き合っ…

CRISPRと学術会議

lようやくCRISPRの研究者がノーベル賞を授与される。 これと日本学術会議とはまるで無関係にようだが私の中ではつながっている。 CRISPR/Cas9を用いるとゲノム編集が効率良くできることがわかって以来、人々はその応用範囲と有用性にすぐに気がついた。 だか…

警官の暴力について:銃社会をどうやって脱却するか?

報道されている通り、5月25日に黒人のGeorge Floyd氏が警官の過剰な行為により死亡した。これはミネソタ州ミネアポリスでのできごとだ。動画で流布されている通り、この事件はひどい。抗議デモが全米のみならず、世界各地で行われ、今のところ止まる気配はな…

Covid-19の今後 (7)

(前回から続く) 以前本ブログでも述べたことがあるが、国防と防疫は同じような考え方に立脚している(いつの記事か忘れたが)。このコロナウイルスの流行でそのことを痛感している。 Youtubeで長谷川、高橋両氏のサイトでワクチンをめぐる諸問題を論じてい…

Covid-19の今後 (6)

(前回から続く) 少しメモ、雑記の類を書いておく。 国民皆PCR 5月17日の日本での新規感染者数は50名となっている(東洋経済のデータによる)。同日のPCR検査数は約5,000件。ここに至ってPCR検査を増やす必要性は全く無く、むしろ有害だ。検査体制のさらな…

Covid-19の今後 (5)

(前回から続く) 続きを書こうと思っていたら発熱して中断。この時期の発熱は多少の緊張を強いられるので始末に負えない。そうこうしているうちに職場の再開プログラムの第一段階が始まろうとしている。熱は一日で引いたので、続きを書くことにする。 ⒌ 最…

Covid-19の今後 (4)

(前回から続く) ⒋ ADE(antibody-dependent enhancement)がCovid-19で起こるか? 本来抗体は感染を防御するのに役に立つものだ。これは一般的な常識であり、かつ研究者もそのように考えてきた。 ところが特殊なケースで抗体の存在が逆に感染を増強し、重…

Covid-19の今後 (3)

(前回からの続き) ⒊ SARS-CoV-2の感染防御抗原とは(続) コロナウイルスの名前の由来は、丸い本体から突起が出ている様が太陽のコロナに似ていることから命名された。この突起をスパイクと呼び、この部分が宿主細胞表面にあるコロナウイルスレセプター(…

Covid-19の今後 (2)

(前回から続く) ⒉ Covid-19の免疫に関する知見:最初のデータ SARS-CoV-2のヒトでの感染過程での免疫の成立に関するデータは3月12日号のNatureに掲載された。これは武漢の研究グループから出された論文で、Covid-19の信頼できる最初の報告だと思う(注)。…

Covid-19の今後 (1)

約2週間前にCovid-19に絡む記事を書いた。しかしブログの設定変更などの事情のためグラフ付きの文書のアップロードがうまくゆかず、そうこうしているうちに中身が旧くなってしまったので新しく書き直すことにした。 かくいう私自身は3月24日から自宅勤務と…