メンフィスにて

主に生命科学と社会について考える

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

“p53: The gene that cracked the cancer code” by Sue Armstrong, 2,015(読書ノート)[2]

(前回からの続き) 本書は全体的に優れた構成となっているが、いくつかの点を指摘しておきたい。 p53の活性化がDNA損傷で引き起こされることがMichael Kastan(当時Johns Hopkins University)らによって発見されたことが記載されている。しかし、p53活性化…

“p53: The gene that cracked the cancer code” by Sue Armstrong, 2,015(読書ノート)[1]

研究者にとって“祝福された遺伝子”というのがある。 常にその分野の中心にあって 研究者にとって“実入りの良い”遺伝子である. がん研究者にとってp53ほど祝福された遺伝子はない。PubMedで調べると現在までに約8万報の論文が出されている。これほどの祝福さ…

狂気の遺伝子

以前数回にわたってSvante Pääboの自伝”Neanderthal Man”について思うところを記した。 PääboはElizabeth Kolbertのインタビューに応じて、“ヒトと他の類人猿との違いは狂気の存在である”という。 ネアンデルタール人は氷河期のユーラシア大陸に拡がった。し…

鳥類ゲノムプロジェクト

Avian Phylogenomics Consortiumという組織が向こう5年以内に10,500種の鳥類についてゲノム配列を決定するというプラン(B10K) を発表した。 この一大プロジェクトで得られる情報から、過去数十億年に亘る鳥類の進化の様子が明らかにされることが期待される…

マラリア感染がB細胞のゲノム不安定性を促す

ある種の病原微生物の感染は腫瘍を引き起こす。この例としてよく知られているものに、パピローマウイルスによる子宮頸がん、B型肝炎ウイルスによる肝がん、ピロリ菌による胃がん、などがある。 最新号のCellにバーキットリンパ腫 (Burkitt lymphoma, BL) に…