メンフィスにて

主に生命科学と社会について考える

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

野球選手の時差ボケ

野球選手の時差ボケの研究がPNASに載っている。 よく知られているように、飛行機で東に移動するときと、西に移動するときとでは時差ボケの程度が違う。野球選手に与える時差ボケの影響も、西から東に移動する場合のほうが影響が大きくて、プレーのレベルが低…

寿司ネタの半分が間違った名前で出されている

これはおもしろいニュースだ。ロスアンジェルス(LA)の寿司レストランで出されている寿司のネタの名前が半分ほどが正しくなかったという話。 これはUCLAなどの研究者によって行われた研究でJournal of Conservation Biologyに発表された。代表者はPaul Barb…

象牙取引停止への中国政府の決意

中国政府は2,017年末までに国内での象牙の取引の中止を達成することを約束した。当然この決定は自然保護主義者たちに好意的に受け入れられている。年々相当な勢いでアフリカゾウが密漁されているが(年間20,000頭という)、この対策はアフリカゾウ保護におけ…

2,017年はゲノムシークエンシングが爆発する?

昨年末、サイエンス誌に昨年(2,016年)発表された最大の科学的発見が掲載された。それは”重力波の観測”だったが、別記事でそれに次ぐ9つの業績も出された。この中には京大グループによる”受精能を持ったマウス卵子のin vitroでの作成”などが含まれている。…

テロメア維持の機構:(5)テロメア姉妹染色分体交換(T-SCE)

(前回から続く) T−SCEに限らず、テロメアという特異なゲノム領域を追求する手法には研究者の知恵が込められている。テロメア姉妹染色分体交換(telomere sister-crhomatid exchange、T-SCE)について少し考察したい。 生細胞中のゲノム変異を追求する方法 …

ジフテリア治療薬の枯渇

昨日号のサイエンス誌に"Life-saving diphtheria drug is running out: Two children's deaths in Europe spur search for new sources of antitoxin"という記事が出ている。欧州でジフテリア抗毒素血清の不在によって子どもが死亡したという事例だ。 先進国…

ドランプ政権下でのFDAの行方

ネイチャー最新号(新年の最初の号)にトランプ新政権下での食品医薬品行政の変更の可能性についての記事が出ている。 食品医薬品行政で問題になるのは、例えばゲノム・エディティングによって作出された家畜の新品種の承認の可否であるとか、幹細胞技術の臨…

NBAと大学のサラリーキャップ

米国のメージャースポーツでは各リーグに所属しているチーム間の戦力均衡を図るために、所属選手の年棒総額に上限を設けていることが多い。 その典型的な例がNBA(National Basketball Association)だ。一昨年のリーグチャンピオンシップの覇者、ゴールデン…

テロメア維持の機構:(4)ATRXはテロメアDNA複製を”助ける”?

(前回からの続き) すでに繰り返し書いたようにALTの腫瘍では正常なATRXタンパクが発現していない。ALT細胞株にATRXタンパクを強制発現すると、ALTの諸性状が消失することは前回述べた。 同じような状況でのテロメア長の変化についてはRichard Gibbonsのグ…