メンフィスにて

主に生命科学と社会について考える

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

モンサント襲撃

サイエンス誌のニュース記事によると、先週初めイースターの夜(16日)にイタリア(Olmeneta, Italy)にあるモンサントの研究施設が襲撃された。この場所は北イタリアのクレモナの近く。 襲撃は火炎瓶によるもので、試験用の種子が貯蔵されている低温施設が…

”画期的な”研究費配分新方式?

米国と欧州の二人の研究者が研究費配分の新方式を提唱している。 今や欧州でも米国でも、研究者にとって研究費獲得はたいへんな重荷だ。米NIHグラントの採択率は、2,003年の30%から2,016年の19.1%にまで低下している。欧州でも若手研究者の研究開始のため…

NIH予算は予期しない経済効果をもたらす?

しばらく前に2,018年度のトランプ科学予算について書いた。その際NIHグラントが経済に及ぼす”多少の”寄与について私見を述べた。基礎研究に対する公的資金の投入はどの程度の経済効果をもたらすのだろうか? 昨年ノーベル医学生理学賞を受けた大隅良典のオー…

免疫チェックポイント療法ががんを増悪させるケース

最新号ネイチャーに抗PD−1療法ががんの進行を速めるケースのあることが紹介されている。これでは最近Clinical Caner Researchに発表された二つの論文の内容が述べられる[1, 2]。 免疫チェックポイント療法は全体の20%程の患者に対して著効を示し、がんを"治…

ジカとデング、交叉免疫

フラビウイルス属ウイルスによる感染症は潜行と浮上を繰り返してきた。ごく最近の大きな問題はジカ熱だ。さらに少し前に日本で問題となったのはデング熱だ。 このウイルス群の研究は黄熱以来の長い歴史があって、感染様式、病理発生、免疫・感染防御など、重…