メンフィスにて

主に生命科学と社会について考える

米国での新型トリインフルエンザ(H7N?)の発生

本日、テネシー州の養鶏場でトリインフルエンザが発生し、約7万4千羽が処分されたというニュースが流された。APHIS(農務省の動植物防疫部門)のページに過不足ない記事が出ている。

この養鶏場はテネシー州南部リンカン郡に所在し、大手食肉流通のタイソン(Tyson)と契約している。ロッキー山脈からアパラチア山脈に至る平原地帯は渡り鳥の飛行路になっていて、The Mississippi Flywayと呼ばれる。ここを南北に通過する野鳥からウイルスがもたらされたと考えられる。ちなみにテネシー州は私の住んでいる州だ。

州の診断センターでヘマグルチニンのタイプはH7と同定された、これは農務省の機関アイオワ州エイムス)でも確認された。ノイラミニダーゼ型は48時間以内に同定される見込みだ。現在ウイルス培養が試みられている。

もしこれが既に中国でヒトへの感染が広がっているH7N9型と同じものならば、トリからヒトへの感染が懸念される。このヒトへの感染は高い致死率を示している。そのため今回発生が見られた養鶏場と周辺の養鶏場のサーベイランスが強化されている。ウイルスは一見健康な野鳥からもたらされる可能性が高いので、生きた、または死んだ野鳥との接触を避けるよう注意を呼びかけている。

これが米国初の養鶏場におけるH7型の発生だ。渡り鳥によって媒介されるのは、いきなりミサイルを撃ち込まれるようなもので、ほとんど防ぎようがない。