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メンフィスにて

主に生命科学と社会について考える

ゲノム時代の”ショパンの心臓”【2】

前回からの続き)

その後このショパンの心臓の話を聞くこともなかったが、昨年の今頃複数の欧米メディアにこの話が出てきた [1, 2]。

それによるとポーランドの遺伝学者と法医学者たちが討論会を持った。その結果件のジャーから心臓を取り出して検分する“儀式”のようなものを非公開で行うことにしたらしい。しかしこの検分のために再びポーランド政府になんらかの申請をしたかどうかについては定かではない。

前回登場したタデウス・ドボス(法医学者)は実際このワルシャワ聖十字教会で行われた“儀式”に参加している。”儀式”はきわめて荘厳な雰囲気の中で行われたらしい。しかし実際におこなった“検分”とは、心臓の外観を確認し、大量の写真を撮っただけだったという。それでも結核結節が認められたので、一応ショパン結核を患っていたことは確認されたとしている。(といっても肉眼所見だけだが) 肝心のDNAの検査だが、ショパンの姉妹の子孫をはじめとするおよそ全てのポーランド人が反対したという。この中にはポーランドショパン研究所の前所長やポーランド大司教も含まれていた。

BBCの記事ではこのほとんど全ての人々が反対したということが、ポーランド人にとってショパンという人がいかに大事な存在であるかを物語っていると結論づけている。

こうしてショパンの心臓は再び長い眠りについた。

 

なおショパンの死因については、結核嚢胞性線維症(CF)以外にも多数の仮説があるようで興味は尽きない。